2重ぼかし縁とグラデーション(カラオケ動画字幕作成中級編)

基本編で、assファイルを特に手を入れないで作成して、エンコードして動画にするところまで説明した。

ここでは、出来上がったassファイルをちょこっといじって
『これだけやっておけば字幕製作者上級者に見えてしまう』

  • ブラー(ぼかし)付き2重縁
  • グラデーション

の簡単なつけ方を説明する。

といっても、原理とかはH.N.WPKIDS@きっずさんのブロマガに書いてあるので、ここでは具体的な手順だけ。

元のassファイルは「txt2ass」を使った時と「春日さん」を使った時のそれぞれ解説する。

前提条件)
txt2assもしくは春日さんで何かしらのassファイルが作成できる。
aegisubがインストールできている。
VSFiltermodでassファイルと動画を合成してプレビュー&エンコードまでできる。

春日さん編

2重縁

目指すもの
2重縁Targetこの例のように、

ワイプ前 ワイプ後
文字色
内側縁色
外側縁色 白(ぼかし付き) 青(ぼかし付き)

となるものを作る。

assファイルをaegisubで開く。
開いたのち「映像(V)」メニュー内「映像を開く(O)」から字幕を乗せたい元の映像を開いて、
「音声(A)」内のメニューの中から「映像ファイルから音声を読み込む」か「音声ファイルを読み込む」等で音声を読み込む。

open_ksgass

上の「編集」メニュー内 「Find and Replace…」を選択

replacestart_ksgass

・置換のメニューに以下の内容を入力する。

blurselectreplace_ksgass

検索する文字列 {\clip
置換先 {\blur3}{\clip
フィールド text
範囲指定 All rows

※{\blur3}の中の数字の3はぼかしの強さを指す。強くぼかしたい場合は数字を大きく、弱くしたいときは数字を小さくする。

を指定して「すべて置換(A)」を押す。

すると、文字の縁がぼやけるようになる。

blurapplyed_ksgass

この状態では、ぼやけた縁の上下がかけてしまう場合があるので、

検索する文字列 \\clip\((.+?,)(.+?,)(.+?,)(.+?)\)\}
置換先 \\clip\(\10,\31080\)\}
フィールド text
範囲指定 All rows
 オプション  Use regular expressions(=正規表現を使用)

でもう1回置換をしておく。

・次に、外縁(ぼやけている縁)の大きさサイズと色を設定する。

「Subtitle」メニュー内、「スタイルマネージャー(S)」を押す。

stylemanagerstart_ksgass

スタイル一覧が表示されるので、まず上の

ワイプ前のスタイルを指定している、「BorderWipe_~_Before_0」の方を選ぶ(ダブルクリック、もしくは選択して「編集(E)」ボタンを押す)

stylemanagershown_ksgass

スタイルエディタが表示されるので「色」の項目の「縁取り」の下の四角を押すと
色を選択できるカラーパレットが表示されるので、外側のぼかし表示をする縁の色を選択して「OK]を押す。
次にスタイルエディタの「縁取り」の項目内の「縁取り」に指定している数字を大きめの値に変更する。
「影」の値は0に変更しておく。
この例の設定内容

縁取り色
縁取りサイズ 10

styleeditor_before_ksgass

スタイルエディタで色と縁取りサイズの指定が終われば「OK」を押して「~Before」の指定を完了させる。

次に同様にワイプ後のスタイル「BorderWipe_~_After_0」でも同様に色と縁取りサイズを指定する。

この例の設定内容

縁取り色
縁取りサイズ 10

styleeditor_after_ksgass

以上で、外側のぼやけた縁の設定ができた。

finish_outside

ので、aegisubの「ファイル(F)」メニューから「Save Subtitle as」を押して別名で保存する。(元のファイルは内側の縁用にもう一度使うので上書きしてはいけない)今回の例では「こんそめ_ksg_out.ass」

save_outside

次に内側の縁の色とサイズを決める。

元のassファイルをもう一度aegisubで開く。

open_ksgass

外側と同様に内側の縁の色とサイズを「スタイルマネージャー」で設定する。

同じ説明なので画像のみ

ワイプ前部分
この例の設定内容

文字色
縁取り色
縁取りサイズ 4  (← 外縁より小さくするのがポイント)
影サイズ 0

styleeditor_before_inside_ksgass

ワイプ後部分
この例の設定内容

文字色
縁取り色
縁取りサイズ 4 (← 外縁より小さくするのがポイント)
影サイズ 0

styleeditor_after_inside_ksgass

こちらも別名で保存する。今回の例では「こんそめ_ksg_in.ass」

save_inside

動画編集ソフトで 外側のassファイル→内側のassファイル の順番に読み込ませる。
VSFilterModでassファイルを焼き付けられる動画編集ソフトなら何でもいいんだけど、とりあえずうちで使っているAvisynthを使用する例で。(使い方は基本編参照)
2重縁avs内容(コピペ用)


movie1=FFVideoSource("op.mpg")
#movie1=movie1.info
uta = WAVSource("combination somebody!.wav")
fullvideo = Dissolve(Trim(movie1,0,3184) , Trim(movie1,813,3524) , Trim(movie1,970,3524),15)
AudioDub(fullvideo,uta)
TextSubMod("こんそめ_ksg_out.ass")
TextSubMod("こんそめ_ksg_in.ass")
return last

これをプレビューする。

2重縁プレビュー

すると、縁が2重になっているものが出来上がった。

外に行くほど縁のサイズを大きくしていくことで、2重だけではなく3重4重と何重でも縁をつけることができる。

グラデーション

ここでは、春日さんで生成したassファイルにグラデーションを追加する具体的な方法について記載する。

まず、ツールの準備段階として、aegisubでグラデーションをプレビューできるようにする。
ダウンロードしてきたVSFilter.modをaegisubのインストールフォルダ内「csri」フォルダにコピーする。
Vsfiltermod_place_aegisubaegisubの「設定(W)」→「Aegisub設定(O)」より設定画面を表示
Vsfiltermod_seting_aegisub「高度な設定」→「映像設定」内の「字幕レンダリングエンジン」を「CSRI/vsfiltermod_textsub」に変更し「OK」ボタンを押す。
以上で Aegisubの事前準備完了。

今回の例では

グラデーションサンプル

上図のようにワイプ前の文字中の色を白(下)から水色(上)にグラデーションさせる例
グラデーションしたい色番号を調べる。
色を指定するための値は、aegisubを使って、スタイルマネージャー→スタイルエディッタ→色を開いてカラーパレットを表示して、使用したい色を選択し「ASS:」の部分に表示されている「&HXXXXXX&」の値をどこかにメモしておく。
色選択

今回使用する色は

白:&HFFFFFF&
水色:&HFF8080&

とする。

グラデーションが必要なassファイルを開く。(上記2重縁にした場合は内側を使う)

open_ksgass

まず、ワイプ前を記述している行を選択するために
「Subtitle」メニュー内「Select Lines…」を押し、

selectline_grad_ksgass
マッチの欄 「Maches」を選択。
selectline_input_grad_ksgass上図のように

マッチ Before_0
Mode Contains
フィールド Style
選択する動作 Set Selection

を指定して「OK」を押す。
(春日さんで色を複数指定した場合、Before_1とかあるかもしれないので、おそらく分けているということは別の色にグラデーションしたいはずなので、その場合はBefore_0が終わった後にBefore_1のグラデーションの色の設定を行う。)

すると、Beforeの部分だけ背景が緑になり、選択された状態になる。

beforelineselected_grad_ksgass

リードインエフェクトなどで/?cタグでの色指定があるとグラデーションが効かなくなるのでまず置換で消去する。
編集 → Find and Replace で置換メニューを出して
deleteexistedctag_grad_ksgass
上図のように

置換する文字列 \1c&.+?\)\}
置換先 \}
Use regular expressions チェック
フィールド Text
範囲指定 Selected rows

なお、この置換処理は、春日さんのリードエフェクトの設定中のタグ表現の中から\1c~\3c~のタグを外しておくと必要ない。

春日さんリードエフェクト設定

つぎに置換でグラデーションのタグを挿入する。
Beforeの部分だけ背景が緑になり、選択された状態で
編集 → Find and Replace で置換メニューを出して
replace_movetag_input_grad_ksgass上図のように

置換する文字列 {\move(
置換先 {\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move( 右上左上を水色(&HFF8080&,)、右下左下を白(&HFFFFFF&)にするグラデーション指定
Use regular expressions チェックしない
フィールド Text
範囲指定 Selected rows

と入力して「すべて置換(A)」を押す。

そのままもう一度
replace_postag_input_grad_ksgass

上図のように

置換する文字列 {\pos(
置換先 {\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos( 右上左上を水色(&HFF8080&,)、右下左下を白(&HFFFFFF&)にするグラデーション指定
Use regular expressions チェックしない
フィールド Text
範囲指定 Selected rows

と入力して「すべて置換(A)」を押す。

すると、
finish_before_grad_ksgass
ワイプ前の部分の文字の中の色がグラデーションになっていることが確認できる。

出来上がったので別名でassファイルを保存する。(今回の例では「こんそめ_ksg_grad_in.ass」)

save_inside_grad

あとは今まで同様動画編集ソフトでassファイルを読み込ませる。
avisynthを使用する例

グラデーションavs

内容(コピペ用)


movie1=FFVideoSource("op.mpg")
#movie1=movie1.info
uta = WAVSource("combination somebody!.wav")
fullvideo = Dissolve(Trim(movie1,0,3184) , Trim(movie1,813,3524) , Trim(movie1,970,3524),15)
AudioDub(fullvideo,uta)
TextSubMod("こんそめ_ksg_grad_in.ass")
return last

これをVirtual Dubでプレビューすると、
グラデーション完成
完成

組み合わせ(2重縁+グラデーション)

前の2重縁と組み合わせることもできる。

縁の外側はそのまま使用し、内側をグラデーション用に修正したassを使用する。
avisynthを使用する例

グラデーションand2重縁avs

内容(コピペ用)

movie1=FFVideoSource("op.mpg")
#movie1=movie1.info
uta = WAVSource("combination somebody!.wav")
fullvideo = Dissolve(Trim(movie1,0,3184) , Trim(movie1,813,3524) , Trim(movie1,970,3524),15)
AudioDub(fullvideo,uta)
TextSubMod("こんそめ_ksg_out.ass")
TextSubMod("こんそめ_ksg_grad_in.ass")
return last

これをVirtualDubでプレビューすると

グラデーションand二重縁完成

両方の効果が適用されている動画の出来上がり。

応用

上の例ではグラデーションはワイプ前の文字色に適用しているが、置換対象の行と置換の文字を変えることで別の部分をグラデーションさせることができる。

それぞれの方法について列挙する。

  • ワイプ前の文字色
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines Before_0
検索する文字列 1 {\move(
置換先  1 {\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move(
検索する文字列 2 {\pos(
置換先 2 {\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos(
  • ワイプ後の文字色
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines After_0
検索する文字列 1 {\move(
置換先  1 {\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move(
検索する文字列 2 {\pos(
置換先 2 {\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos(
  • ワイプ前の内縁
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines Before_0
検索する文字列 1 {\move(
置換先  1 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move(
検索する文字列 2 {\pos(
置換先 2 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos(

 

  • ワイプ後の内縁
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines After_0
検索する文字列 1 {\move(
置換先  1 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move(
検索する文字列 2 {\pos(
置換先 2 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos(

 

  • ワイプ前の外縁
対象のassファイル 外側のassファイル
select lines Before_0
検索する文字列 1 {\move(
置換先  1 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move(
検索する文字列 2 {\pos(
置換先 2 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos(

 

  • ワイプ後の外縁
対象のassファイル 外側のassファイル
select lines After_0
検索する文字列 1 {\move(
置換先  1 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\move(
検索する文字列 2 {\pos(
置換先 2 {\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)}{\pos(

 

txt2ass編

原理は一緒なので置換ルールだけ書いとく。
縁ワイプをしていない字幕前提になってます。

色さえ決まっていてプレビューする必要がなければ「メモ帳」で開いて置換でもOK

2重縁

検索する文字列 {\q2
置換先 {\q2}{\blur3
フィールド text
範囲指定 All rows

 

グラデーション

  • ワイプ前の文字色
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines Kanji1 と Ruby1  (全部でもOK)
検索する文字列 1 {\q2
置換先  1 {\q2}{\2vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)
  • ワイプ後の文字色
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines Kanji1 と Ruby1 (全部でもOK)
検索する文字列 1 {\q2
置換先  1 {\q2}{\1vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)
  • 内縁
対象のassファイル 内側のassファイル
select lines Kanji1 と Ruby1 (全部でもOK)
検索する文字列 1 {\q2
置換先  1 {\q2}{\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)
  • 外縁
対象のassファイル 外側のassファイル
select lines Kanji1 と Ruby1 (全部でもOK)
検索する文字列 1 {\q2
置換先  1 {\q2}{\3vc(&HFF8080&,&HFF8080&,&HFFFFFF&,&HFFFFFF&)

 

 

 参考資料置場

今回使用したツール類は基本編同様以下の場所にも置いてます。

https://www.pcgame-r18.jp/owncloud/index.php/s/51v5zsQyGgUeA3N

今回の動画で作ったassファイルやその他元データも全部おいているので、そちらでも試してみて~。

 

 

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